がん克服の食事 免疫力の正常化の要【腸内環境】
(この記事の執筆責任者:管理薬剤師 西口一志)
がんの再発・全身転移を防ぐには免疫力の正常化は必須
その免疫力の正常化にとって一番の要【腸内環境】
●免疫網の維持
●免疫細胞から発せられる体内情報伝達物質(サイトカイン、エクソソーム、など)の正常化
●免疫細胞からの正常な抗体産生
●その他、様々な抗炎症作用や生体防御能の向上など大切な役割を担っている。
その一番の要が【腸内環境】
免疫で一番大切なことは多様性
その多様性は腸内細菌叢の多様性で決まってくる。
その腸内細菌叢の多様性の維持には正しい食への認識が非常に重要になる。
ここが改善しない限り、抗がん剤治療などで一旦癌が消えても何回でも再発し全身転移を招きやすくなります。
【正しい食の認識とは】
この多様性を維持するには、どんなに良い食材だとしてもそればかりに偏りすぎるのも良くありません。
その上で、【積極的に摂取した方が良いもの】、【なるべく控えた方が良いもの】を把握する事です。
【積極的に摂取した方が良いもの】
① 主食として穀類、イモ類、などの炭水化物をしっかり摂る。これが腸内菌にとって欠かせない餌になります。 でんぷん質が良好な腸内環境叢にとって不可欠。
一時安易な考えの健康ブームで糖質制限で炭水化物を控える方が健康体になるとか糖質はがんの栄養になるか良くないなどありましたが、今はそうではないことが解明されています。
がん治療中に、がん細胞に栄養が行かないように糖質制限をし過ぎると逆にがんの進行を促し再発・全身転移が加速してしまう事も解かってきました。
糖質制限をし過ぎることで、【オートファジーの異常活性】【がん悪液質】の悪い方へ一気に体内シフト変化を招いてしまいます。とても注意が必要です。
② 食物繊維の豊富な野菜、きのこ類、海藻類 などをしっかり摂る。
特に水溶性の食物繊維(ネバネバ食材)を積極的に摂る。
野菜(長芋、オクラ、モロヘイヤ、ツルムラサキ、明日葉、アボカド、かぼちゃ など)
きのこ類(しいたけ、舞茸、なめこ、エノキ、エリンギ など)
海藻類(わかめ、めかぶ、昆布、もずく、ふのり、アオサ、ひじき、寒天 など)
これらを摂ることで腸内菌が餌にして【短鎖脂肪酸】を産生してくれる。
★この【短鎖脂肪酸】が免疫にとっても、がん再発・転移防止のにとっても重要な役割を担っていることが次々に証明されている。
【短鎖脂肪酸】は細胞のエネルギー源としてだけではなく、免疫機能を正常化し生体防御能を高めがん細胞の増殖を抑えたり、がん細胞の遺伝子発現の制御や代謝制御、抗炎症作用などによるがん細胞の増殖抑制に欠かせない。赤ちゃんの便には短鎖脂肪酸が多い。
③ 抗酸化作用の食材・アルカリ性食材を積極的に摂る。(緑黄色野菜、くだもの、梅干し、酢の物など)
特にりんごはアルカリの王様と言われぜひ取り入れてください。梅干し・酢の物など塩分に気を付けて適度に取り入れることでガン体質の酸性化を予防します。
④ ω3系のオイル(亜麻仁油、えごま油、インカインチオイル、シソ油など)抗炎症作用に効果的。
普段の食生活の中でω6系のオイルのほうが多く摂りがちなので、バランスをと整えるにはこのω3系のオイルを意識して取り入れてください。しかし過度な摂りすぎにも注意!
がんの炎症➡進行を抑えるにはこのバランスが重要になる。
⑤ その他、豆類、ごま など、
【ま(豆類)・ご(ゴマなど種実類)・わ(ワカメなど海藻)・や(野菜)・さ(魚)・し(椎茸などキノコ類)・い(イモ類)】をしっかり意識して、
昔ながらの和食・精進料理をイメージして、なるべく旬の食材も取り入れてください。
※実際に世界中の様々な国で昔の日本食のすばらしさに気づきその効果を解明し実践し始めています。その日本人だけが抗ガン剤一辺倒の意識を刷り込まれてその効果に無頓着です。
●京丹後市に健康長寿が多い。その65歳以上の方々を調査してわかったこと。
・海藻(板ワカメ、岩のり、はばのり) ・煮物(根菜、イモ類)を毎日よく食べている。
毎日・海藻・野菜が多い。みなさん腸内細菌が多様性に富んでいた。これが良好な免疫を保つ。
この腸内細菌叢の維持にはこうした食生活が重要。
【なるべく控えた方が良いもの】
① 動物性の食材(肉類、乳製品など)これを多く摂りすぎると腸内細菌叢が乱れ、体内に炎症を起こしやすくなる。身体も酸性に傾いてくる。がんの増殖・転移・再発の好条件を作り上げてしまう。
② 人工油(トランス脂肪酸)(マーガリンやショートニング、ファットスプレッド など)
パン・ケーキ・ドーナツなどの洋菓子、揚げ物、などのほとんどにトランス脂肪酸が多く含まれる。
アメリカでは『トランス脂肪酸』の食品添加を、2018年6月18日から原則禁止している。
③ 白砂糖、食塩を控える。できるだけ人工的に精製されていない黒糖・きび糖、はちみつ、や自然塩を使う。日本人は白砂糖の摂りすぎ多い。ビタミンB₁不足。
※海外ではサトウキビをその場で絞りジュースとしての習慣のある国もある。とても健康に良い。
現地の人は、サトウキビには不思議な蘇生力があり、人間の根源に働きかける事をよく理解している。