がん治療中に服用する漢方薬や免疫商品に関して
(この記事の執筆責任者:管理薬剤師 西口一志)
がん治療中に服用する漢方薬や免疫商品に関して
がん治療中に何とかしたい、免疫力を戻したいという思いでまず誰もが考えることが、病院の治療以外でも漢方薬や生薬、天然物、免疫商品、健康食品など何か少しでもプラスになるものを探し求めると思います。
特に、免疫乳酸菌など腸内菌関連商品、フコイダン(フコキサンチン)、アガリクス、メシマコブ、霊芝、キノコ菌糸体、など免疫商品は多くのメーカーが様々な商品を毎年売り出しています。
●免疫商品について
大学などの研究機関で、基礎研究を積み重ね、長年学会発表の場で確かな有効性と安全性をしっかり証明されているものを服用すべきだと思います。
当薬局もそこには徹底してこだわったものを扱っています。
基礎研究・学会発表で、免疫賦活、 癌細胞のアポトーシス(自然退縮)、 抗炎症・抗酸化作用、 抗ガン剤の副作用軽減 、再発・全身転移防止 などに優れ信頼性の高いものです。
この業界に30年近く携わっていますが、本当に確かな基礎研究を積み重ねて信頼できるものは極々わずかしかありません。
特にがんや免疫に関しては、一時的なブーム品やそれに伴う出版物、パンフレット、TVやネット広告などいかにも効果があるかのようなものが毎年多くのメーカーさんから出回ります。
そのようなものに決して手を出さないでください。様々な処からデータを引用してきたものを組み合わせていかにも効果があるように見せかけている程度のものがほとんどです。
●抗がん生薬と言われるもの
・半枝蓮(ハンシレン)・・・抗炎症・抗がん作用、 解毒・鎮痛作用、 腹水 など。
・百花蛇舌草(ビャッカジャゼツソウ)・・・抗炎症・抗がん作用、 免疫増強作用 など
・冬虫夏草(トウチュウカソウ)・・・免疫増強作用、 体力増強作用 など
・一位(イチイ)・・・抗炎症・抗がん作用、 がん細胞増殖抑制作用 など
・梅寄生(バイキセイ)・・・抗炎症・抗がん作用、 解毒・解熱作用、 肺炎・肋膜炎・腹膜炎など
・仙鶴草(センカクソウ)・・・抗炎症・鎮痛作用、 健胃・体力増強作用、 止血作用(急性白血病やがん進行による播種性血管内凝固症候群(DIC)など)
・威霊仙(イレイセン)・・・胃気を開き胃の働きを改善、血液リンパの流れ改善で抗腫瘤・止痛作用、 風湿・痰濁・積聚を伴う食道がん・胃がん・大腸がん・皮膚がん・脳腫瘍などに
・藤瘤(フジコブ)・・・抗がん作用、特に胃がん・食道がんに有効
・瓦茸(カワラタケ)・・・抗がん作用、特に肝臓がん、胃がん・食道がん・・悪性リンパ腫などに瓦茸の菌糸体から抽出精製されたクレスチンは医薬品の制がん剤として認められています。
・ひまし油(トウゴマ)・・・この油を外用として『ひまし油湿布』として用いる。 免疫力向上・毒素排出作用。
・ビワ葉・・・ビワの葉温灸として外用で用いる。患部に葉を当てその上からお灸することで『アミダグリン』と言う成分が、がん細胞に有効と考えられています。
●動物生薬
・麝香(ジャコウ)・・・開竅作用に優れ、免疫異常・体内炎症・循環悪化・体温異常など、がん悪化又は抗がん剤・放射線治療の副作用による様々な体内異常の正常化に有効です。
・牛黄(ゴオウ)・・・清熱解毒に優れ、麝香と併用する事で様々な体内異常の正常化に有効です。
(当薬局も麝香・牛黄製剤に関しては、がん治療に生かしています。)
・熊胆(ユウタン)・・・胃・肝臓・胆管・膵臓がんに有効です。
熊の胆嚢を丁寧に時間をかけて固めたもの。今では熊胆を作れる職人不足により希少品。
代用品として他の動物胆が使用されていますが、効果が全く違います。
・鹿茸(ロクジョウ)・・・抗ガン剤治療などによる基礎体力低下に有効です。
●漢方処方
●がん進行による体重減少・体力低下・免疫力低下、
又は抗がん剤・放射線治療の副作用による食欲不振・骨髄抑制・悪液質進行など。
この場合はとにかく補材の漢方薬が使われます。
・十全大補湯 ・補中益湯 ・人参養栄湯 など。
これらは、がんの再発・転移の抑制効果も解明されています。
●がん進行、又は抗がん剤の副作用による食欲減退、体重・筋力低下、がん悪液質など。
この場合とにかく食べれるようにする補脾薬・理気薬が使われます。
・六君子湯 ・半夏厚朴湯 ・香蘇散 など。
六君子湯は、がん悪液質抑制効果も解明されています。
●その他、
体内炎症に対しては清熱解毒薬
血流・リンパの流れが滞っている場合はそれらの巡りを良くする理気・理血薬
腹水・むくみにたいしては化痰湿・利水薬 など
その時々の身体の状態に合ったものを服用していくことがとても大切です。
これらにプラスして ・正しい食事、 ・効果のある適度な運動、 を続けてください。
そして血液検査の推移を注意深く診ていくことでしっかり体内環境の状態を把握できます。