がん克服のための運動 最も効果的な運動・身体の動かし方
(この記事の執筆責任者:管理薬剤師 西口一志)
がん克服のための運動
最も効果的な運動・身体の動かし方
●運動をして筋肉を収縮⇔弛緩する事によって、
①マイオカイン・修復ホルモン・サイトカインなどの微量物質が全身に放たれ良い効果をもたらす事。
(特に免疫正常化、がんの異常代謝改善、抗炎症効果は大きい。)
②全身隅々への血流を改善し、特に静脈・リンパの流れを引っ張り流して巡りをつける効果。
(細胞の酸欠➡がん代謝(解糖系)を防ぐ。)
③緊張➡凝り➡萎縮➡酸欠➡がん化(代謝異常)経路を断ち切る。
(ほぐして巡らす事で、がん有意なシフト変化を防ぐ。がん悪液質進行を防ぐ。)など
がんの進行を防ぎ、再発・全身転移の芽を断ち切る働きが次々と明らかになってきている事をお話してきました。
しかし、やり方によってその効果に大きな違いがある事も解かってきています。闇雲に行うよりも正しい効果的な方法で実践してください。
運動をする事がわかっていても
・どこの筋肉を動かすのが効果的か?
・どのくらいの強度で行うのが良いのか?
・どのようなやり方で行えば良いのか?
【正しい効果的な方法】
★身体の中でも大きな筋肉の箇所を動かす。
・肩から肩甲骨周りの筋肉を動かす。
・脊柱起立筋群から腰回りの筋肉を動かす。
・太ももからおしりまわりの筋肉を動かす。ふくらはぎを動かす。
★がん患者さんの体調や筋力はそれぞれ違います。大切なのはその日の体調に合わせて過度なストレスにならない程度の強度・回数で行う事です。
・運動 ⇒交感神経↑⇒アドレナリン↑
・精神的ストレス⇒交感神経↑⇒アドレナリン↑
運動も精神的負担もどちらも一般的にがんを悪化させてしまう炎症性のアドレナリンが主役ですが、この『持続時間』が重要で、運動は短期間だけ放たれた後は直ぐにリセットしやすい【快ストレス】と言われ、精神的ストレスによって放たれるものは【悪ストレス】と言われ、長く蓄積され慢性炎症のもとになってしまう事も解かってきています。
したがって大切な事は、苦痛(ストレス)にならない程度の強さ・回数で行い、身体を動かした後心地いい感じが出てくると効果は確実だと思います。
・運動による疲れ【快ストレス】⇒一時的・持ち越ししない⇒身体をリセット
・精神的ストレス【悪ストレス】⇒蓄積・持ち越しする⇒慢性炎症悪化
*楽しみながら・好きな方法で行う ⇔ いやだけど行う・おっくうだけど頑張る
この違いは大きな効果の差になって現れます。
苦痛だけど決めた事は気力をふり絞ってでも行うと言うストレスの下での実行は注意してください。
★筋肉の効果的な動かし方は、なるべくゆっくり大きく動かしてください。
動かす筋肉回りをストレッチして伸ばしてほぐしながら行うと効果抜群です。根気強く萎縮改善あるのみです。
漢方(中医学)では経絡・ツボの考え方もあり、ストレッチしていく際に少し叩いたり手で押し込んだりするともっとほぐれやすく巡りが良くなります。
癌=気滞(ストレス・緊張・不安)と瘀血(かたまりと言う意味)と痰湿(湿毒・湿熱)の集合体と捉えます。したがってとにかくつまりを通す事が重要です。がん組織(がん細胞と炎症細胞のかたまり)動かして通りをつけることに重点を置きます。
★強度の有酸素運動を取り入れる。
少し心拍数が上がる程度で15分以上続ける有酸素運動を取り入れるともっと効果的です。
毎日でなくてもかまいません。時々でも大丈夫です。
発汗しながらの運動の大切さは前回お話ししましたが、体内のがん毒・抗がん剤毒は汗から多く排出されます。細胞や間質の老廃物・毒など様々な不要成分を汗が排出して、細胞間のやり取りをスムーズにすることが何より癌化防止です。
この汗の性質は精神的状態や睡眠によって大きく左右されることもわかっています。常にリラックスを心掛けてください。
【肩から肩甲骨周り】上記の図参照
【脊柱起立筋群から腰回り】上記の図参照
【太ももからおしり周り、ふくらはぎ】上記の図参照
●気持ちの安定・リラックスがもたらす効果は想像以上に体内ホルモンの変化を起こし、体内の免疫網や細胞の代謝などをダイナミックに変化させ正常化へ近づけます。
体内の働き・様々な機能はすべて超複雑な相互作用です。バランスを取り戻す、中庸への働きかけこそが大切です。
安易な一方向からの単作用は必ず歪を生み大きな副作用になります。たとえ単作用の抗がん剤を数種類組み合わせたくらいでは、その遥か上でのがん細胞の逃避ルートを活性化していく事はこれまでのデータで明らかです。それどころか身体の歪は更に悪化して再発・全身転移の悪ループに陥ってしまいます。
がん治療中には迷うことなく、身体の超複雑なバランスを取り戻すための運動、食事、リラックス、LEM・MAK・LEFの服用を根気強く続けることだと思います。
今回は特に、通常の炎症➡治す過程で必要、しかし 長期の炎症(慢性炎症)➡バランスを取り戻せなくなり炎症の悪ループに陥った状態。ここにリラックス・運動・LEM・MAK・LEFの役割についてです。
・LEM・MAK・LEFはここを断ち切る。(NF-κBなど正常化へ)
・リラックスを心掛けた運動(快ストレス)は雑方向からバランスを取り戻し、IL-6などサイトカインや体内炎性症物質も正常化を取り戻す。