がんの状態は、血液検査の推移が一番把握できます。
(この記事の執筆責任者:管理薬剤師 西口一志)
がんの状態は、血液検査の推移が一番把握できます。
(その際、必要な最低限の項目は、検査項目に入れてもらってください。)
・がんを克服するために、抗がん剤治療に耐えて頑張る。または
・抗がん剤治療はいっさい行わず、代替医療・民間療法などで自身の免疫力にかけてみる。
この様な決め方・決心の仕方は危険だと思います。
ここを疎かにして安易に病院治療に任せっきりは良くありません。
まず、ご自身のがんの状態・性質・体内状態などをしっかり考慮したうえで、その都度判断していく事が重要です。その判断基準になるのが血液検査の推移です。
がんを克服するために大切な事は、抗がん剤治療の副作用に必死に耐え抜いて頑張る事ではなく、
抗がん剤治療の影響をなるべく最小にして(減量したり、間隔を充分あけたり、または抗がん剤治療を行わずに様子を見たりして副作用を少なくするなど)、その間に体内環境(がん微小環境)の改善を実行していく事です。
ぜひ、がん治療中にお悩みの方は、血液検査の結果を持って当店にご相談ください。
その推移を解析してご説明します。
病院の担当医はほとんどの場合、その様な見方はできていません。
●どのような治療を選び、どの様に進めていくかを決めるために
一番重要な指標になるのが血液検査です。
その推移で何が今必要な治療なのか?
どの様な治療は今避けるべきか? が明確になります。
しかし実際の病院治療では、血液検査はしますが、抗がん剤治療前の基準を満たしているかを診ている程度の捉え方です。
担当医によっては、がん進行状態を診るために一番重要な体内炎症(CRP)さえ項目に入れてない場合もあります。
血液の状態の推移を診て、がんの状態・免疫の状態・体力・炎症などの状態がどうなってきているかを解析して診ているお医者さんはほとんどいません。
その様な意思もないので解析できないのが現状です。がん専門の腫瘍内科の先生も同じです。
抗がん剤治療を推し進める一辺倒の病院治療では、白血球数や血小板数、腎機能の数字さえ診ていればよいのです。それがクリアーしていれば、ただ単に抗がん剤を実行していきます。
・今抗がん剤治療の影響で、免疫や体内状態がどのくらいのダメージなのか?
・がん細胞がどのくらい炎症・進行を強めているのか?
ここを血液検査の推移を注視しての治療を心掛けないと、抗がん剤治療の影響で逆にがん進行を急激にすすめたり、抗がん剤治療後の強い再発・全身転移になってしまいます。
特にほとんどの場合で、抗がん剤治療後の強い再発・全身転移が起きています。
血液検査の解析をして状態を診ていく事はそんなに難しい事でもありません。
当薬局では、患者様ご本人に少し診方を説明して理解してもらい、ご自身で毎回正しくチェックしている方もいます。
(血液検査の結果を診ていく際に大切なポイント)
一つは、炎症系の数値・細胞破壊系の数値 が上がり始めていないか? 流れを診ること
特に抗ガン剤のやり始めや止めた後の変動は要注意!
★各種腫瘍マーカー・・・がんの進行度とタイミングが
大きくズレることが多い。腫瘍マーカーに
現れにくいタイプの方もいる。
★CRP(炎症)がんによる場合だけではなく
抗ガン剤・放射線治療による悪化も要注意。
★LD(乳酸脱水素酵素)細胞の中で糖が分解されて
エネルギーを作る(解糖系)で働いている酵素。
アイソザイム(LDの型1~5まである)で
どの臓器が悪いか判断できる。
●がん細胞では一般的にLD活性は上昇しており、
嫌気的解糖の方向に、つまりピルビン酸から乳酸の
方向にシフトしている。これはワールブルグ効果(嫌気的解糖)と言われ酸素供給される
環境下でも解糖系によってATPと乳酸を増やす方向に働く。
このLD活性は予後と関連すると言う報告が多数ある。
★CK(主に骨格筋や心筋に存在する酵素)
CK-MM(骨格筋)、CK-MB(心筋)、CK-BB(脳や脊髄)の3タイプがある。
一般的には抗がん剤治療やその他薬剤による骨格筋の横紋筋融解症を診ている。
★ALP(特に肝・胆・膵系のがんは重要)
★LAP(胆道系の酵素と呼ばれ、胆道の詰まり黄疸などに重要)
★D-ダイマー、FDP(プラスミンが血栓を溶かした時にできる物質、血栓のゴミ)
体の中の血栓の存在が多くなると線溶現象が亢進する。➡D-ダイマー、FDP高値になる。
・癌においてもD-ダイマーは腫瘍量・転移数と相関(腫瘍マーカーのCEAよりも良好に)相関する)
★BNPまたはANP(心臓から分泌されるホルモン)何らかの要因で心臓に負荷がかかった時に心臓自ら負荷を和らげようとします。利尿作用、血管拡張、降圧作用などの働き。
・抗ガン剤治療中に心臓への負担を診ている場合が多い。
・血管の内皮をツルツルにきれいにする。この働きががん細胞の転移の抑制効果に関与。
注意! 進行していても腫瘍マーカーやLDなど数値が上がってこないケースもあるので、
CRPや症状など他の要因も併せて診ていくことが大切。
二つ目は、修復・回復系(骨髄造血系、栄養系)の数値が弱り始めていないか?
特に抗ガン剤治療中に骨髄造血の促進剤の注射を行っていないか確認する事。
★アルブミン・・・じわりじわり下がっていくときは本当に要注意。
悪液質はなかなか戻せなくなる。
★白血球・・・白血球の戻りが遅くなってきたら造血剤の注射する前に
抗ガン剤の間隔をあけるべき。
★赤血球、Hb・・・ヘモグロビンはとても大切。酸素を運べなくなると
身体の回復力はかなり低下してしまう。
★血小板・・・止血効果だけではなく、体内のダメージ箇所の修復は
この血小板の働きが大きな役割を担っている。
三つめは、免疫系のバランスが悪くなり始めていないか?
★白血球の(特に好中球とリンパ球の割合) 好中球/リンパ球比率(NLR)
このリンパ球の割合が低くなりすぎると予後も良くない。再発につながりやすくなってしまう。
・この時に尿の㏗も診てなるべく7以上を目標にする。